
自己破産・免責手続とは、裁判所に破産の申立をして破産宣告を受け、破産手続に従って自分の残余財産を債権者に分配し、それでも弁済できない債務については裁判所に免責の申立をし、これによって破産宣告前の債務をすべて棒引きにしてもらうという、いわば究極的な債務整理手続です。
戦前に破産法が制定されたころは自己破産や免責の制度はそもそもなく、破産すると債務を完済するか、あるいは時効などで債務の全額が消滅するまでの間は、ほとんど犯罪者同様の扱いを受けるといわれていました。その頃の影響もあってか、最近でも自己破産には心情的な抵抗があるという方は少なくありませんが、現在の自己破産の手続は懲罰ではなく、むしろ債務者の経済的更生を支援する制度として運用されており、破産者の免責もかなり広く認められておりますので、現在の破産制度は多重債務者に対する社会的救済措置として機能しており、自己破産しても特に失うものがない人にとっては、自己破産・免責手続は最も経済的メリットの大きい債務整理手続といえます。
自己破産・免責手続としては、まず裁判所(住所地を管轄する地方裁判所またはその支部)に破産の申立をして、債務者について債務の支払が不能の状態に陥っていると認められる場合には、その債務者に対し裁判所が「破産宣告」を行います。破産宣告を受けた人のことを「破産者」といいます。破産宣告を受けると、同時に裁判所から「破産管財人」(通常は弁護士)が選任され、自己破産者の財産のうち20万円以上の価値があるものは破産管財人により換価され、各債権者に対しその債権額に応じて平等に分配されます。もっとも、自己破産者の財産がほとんどなく、破産手続の費用をも賄うに足りない場合には、破産管財人は選任されず、破産宣告と同時に破産手続が廃止されることになり、このような事件を「同時廃止事件」といいます。
なお、破産宣告を受けても当然に債務がなくなるわけではなく、支払不能な債務の支払義務を免除してもらうには、別途「免責」の申立をする必要があります。裁判所に免責の申立をすると、免責審尋期日が定められ、破産者はその期日に裁判所へ出頭し裁判官の審問を受け、そこで免責を認めるのが相当であるかどうかの審査が行われます。自己破産者の免責は、破産者が「免責不許可事由」に該当しない限り認めるということになっていますが、免責不許可事由に該当する行為があっても、それがよほど悪質な行為でなければ、ほとんどの場合裁判官の裁量により自己破産、免責が許可されているのが実情です。
ただし,免責審尋の期日には,弁護士を代理人としている場合でも必ず本人が出頭する必要があり、正当な理由なく免責審尋期日に出頭しないと、免責の申立が却下されてしまうことがありますので十分注意してください。自己破産者が免責決定を受けると、自己破産者の債務は原則として「自然債務」(任意に支払うのは構わないが、法律上支払うことを強制されない債務)になりますが、例外として租税、雇人の給料、自己破産者の悪意による不法行為の債務、破産者が債権者名簿に記載しなかった債務、罰金等は自己破産の免責の対象となりません。国民年金、国民健康保険などの社会保険料については、明文の規定はありませんが、実務上は租税と同様の取り扱いとなります。
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